飲食業界を中心に経済的な打撃を与えた新型コロナウイルスの感染拡大。時短営業や営業停止などのあおりを受け、業態の変化を余儀なくされた事業者も少なくありません。

結果として「テイクアウト」や「宅配サービス」などの普及が進み、飲食店の新たな販路が開拓されたり、マーケティング施策に力を入れたりする企業も増えています。この記事では、コロナ禍の今だからこそ取り入れたいサービスの例を5つ紹介しましょう。

コロナ禍で飲食店が直面している状況とは?

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コロナ禍で飲食店が直面している状況は依然として厳しいものがあります。まずは市場を取り巻く今の状況について詳しく見ていきましょう。

市場と行政の支援策

コロナ禍で飲食業界が受けた打撃は甚大で、数多くの事業者が休廃業に追い込まれています。その背景にある原因としては、行政からの要請はもちろん、消費者の生活様式の変化やそれに伴い外食にかける支出額が減少したことが挙げられます。

以下の図表は、令和3年に内閣府が発表した「新型コロナウイルス感染症禍の外食産業の動向~需要側・供給側からの振り返り~ 」から、外食支出の推移を示したものです。前年比28.2%減と、新型コロナウイルスの感染拡大から大きく落ち込んでいることが分かります。

引用:新型コロナウイルス感染症禍の外食産業の動向~需要側・供給側からの振り返り│内閣府

また、以下の図表は飲食店の売上高の推移を表したものですが、飲食店の売上も同様に著しく落ち込んでいることが分かります。

引用:新型コロナウイルス感染症禍の外食産業の動向~需要側・供給側からの振り返り│内閣府

このような影響下で、休廃業を強いられた飲食店は少なくありません。一方で、存続している飲食店の多くは業態の転換や新たな販路の開拓などの企業努力もあり、上手く時流に乗って経営を続けていると言えるでしょう。

独自の施策で窮地を脱する企業も

市場そのものが冷え込んでしまった以上、従来通りの営業方法では売上を確保できず、独自の集客方法やマーケティング施策を実行して営業を続けている企業も少なくありません。

需要は減少したものの、消費者の「美味しいものが食べたい」「お店の料理が食べたい」というニーズがまるごと消滅したわけではないため、そのニーズを従来とは異なる形で満たしたり、消費者の感染リスクをできる限り抑えたりしながら営業を継続することは可能です。

つまり、施策を考案・実行する上で最も重要なのは、その施策が現在の市場やニーズ、リスクに対して有効か否か、という視点でしょう。中でも飲食店が窮地を脱するための施策において注目を集めたのは「マーケティング」に関する施策と言えます。

例えば新たな業態へ変化したり、消費者の感染リスクを抑えたりしたとしても、その努力が消費者のニーズを満たしていなければ来店には繋がらず、またユーザーが「リスクが軽減されている」と感じなければ、売上には繋がらないでしょう。

こうした消費者のニーズや不安を取り除き、効果的に伝えていく活動も広義ではマーケティングに含まれます。これらの理由から、飲食店の新たなサービスや施策を検討する際にはマーケティング視点も加味する必要があるでしょう。

業態の変化が余儀なくされる時代の「マーケティング」とは

飲食店のみならず、様々な業種でマーケティングの重要性が取り沙汰されるようになりました。コロナ禍による業態の変化や消費行動の変容はその大きな要因と言えるでしょう。

飲食店の多くはBtoCのビジネスモデルで成り立っているため、消費行動の変容は売上に直結します。その変化をいち早く汲み取り、最適な形でサービスに落とし込めれば、窮地を脱するだけでなく新たなビジネスチャンスを創出することも可能です。

飲食店の集客に活かせる面白い企画や施策の考え方

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飲食店の集客に活かせる企画や施策は、一朝一夕では思いつかないでしょう。しかし、本章で紹介する考え方をベースに検討すれば、自店舗に適したサービス案が思いつくかもしれません。

まずは企画を練る際に活用したい質問リストを確認してみましょう。

まずは確認!企画を練る際の質問リスト

企画を考える際に利用してほしい質問リストを用意しました。

質問リスト
  • 顧客と自社の双方にメリットがあるか?
  • 企画を楽しみつつ自社の魅力を味わってもらえそうか?
  • 他店と差別化できる独自性があるか?拡散されそうか?

それぞれ詳しく見ていきましょう。

「顧客」と「自社」の双方にメリットがあるか?

集客につながる施策を検討する際にありがちなのが「自社」にメリットがあるだけで「顧客」にはメリットがない施策を打ち出してしまうこと。客観的な視点を持っているつもりでも、反響が得られずに失敗する可能性があります。

ポイントは「自社にメリットがある施策」と「顧客にメリットがある施策」を別々に検討し、それらの施策が重なり合う落としどころを見つけることです。初めから両方を満たした施策を考えようとすると、中々うまくまとまらない可能性があります。

この質問を繰り返し自問したり、実際にリピーターにアンケートを取ったりして最適な施策を見つけましょう。

企画を楽しみつつ自社の魅力を味わってもらえそうか?

飲食店が提供する価値は「モノ」でも「コト」でもなく、そこで過ごす「トキ」にあるのです。これは飲食業界に限った話ではなく、消費行動の変容として様々な業界で語られる、いわゆる「トキ消費」と呼ばれる概念です。

これになぞらえれば、飲食店の施策も「トキ」の消費方法をより上質にするための施策でなければなりません。

まずは自店舗で過ごす顧客がどのようなトキ消費を求めているのか、自店舗が提供できるトキはどのようなものか、というサービスの軸を明確にすることから始めましょう。その軸を発展させ、具体的にどのようなトキをどれくらいのレベルで感じてもらいたいのか言語化してみましょう。

出てきた言葉をヒントにしつつ実際の施策に活かせれば、自店舗の魅力を最大限に味わってもらいつつ、顧客に施策を楽しんでもらえるでしょう。結果として効率的なマーケティング活動につながると言えます。

他店と差別化できる独自性があるか?拡散されそうか?

同業他社が乱立しやすい飲食店では、マーケティング活動を実施する上で他店との差別化が重要です。せっかく面白いサービスや施策を実施するのであれば、他店にはマネできない独自の企画や、SNSで話題になる魅力的な企画を提示したいもの。

他店のキャンペーンや施策を調査したり、SNSで人気になった飲食店のサービスと比較したりしつつ、企画を練っていくのもおすすめです。

企画を詰める際のコツや注意点

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ここからは、実際に企画を詰める際のコツや注意点について解説します。

「構造」をマネして「要素」にオリジナリティを組み込む

ゼロから企画を立案するのは難易度が高く、マーケティングに関する知識や経験も必要です。まずは他店や他業種の企画を調べて、構造をマネしつつ「要素」にオリジナリティを加えてみると良いでしょう。

例えば「じゃんけんで勝ったらドリンクをサービスする」という企画を実施している飲食店があったとします。構造を抜き出すと「〇〇で××をしたら△△をサービスする」という一文に要約でき、この空白部分(要素)にオリジナリティのある要素を入れるイメージで施策を検討します。

「モノ」「コト」ではなく「トキ」を売る意識を持つ

先述したように、消費の形はモノからコト、トキへと変遷しています。施策を検討する際には、何を売るか、どんなことを売るか、ではなく「どんな時を売るか」という視点で考えてみましょう。

大人向けの静かなバーなら、商品の割引よりも「好きなBGMをかけていいサービス」の方がウケそうですし、若者向けの居酒屋なら「盛り上がるイベント+商品の割引」は人気が出そうです。

消費者がどんな時を過ごしたくて自店舗を訪れるのかが分かれば、自ずと最適な企画が見えてくるでしょう。

今こそ取り入れたい!飲食店の面白いサービス例5つ

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ここからは、すぐに取り入れられる飲食店の面白いサービスを5つご紹介します。

飲食店の面白いサービス5選
  • 「利き〇〇」イベントを開催して商品に触れる機会をつくる
  • 店員とのにらめっこで勝てば割引になるキャンペーンを実施する
  • 季節に合わせたコスプレやイベントを開催する
  • 独自のタグを使って商品をシェアしてもらうキャンペーンを実施する
  • 閉店時間中に自店舗の商品に沿ったワークショップを開催する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

「利き〇〇」イベントを開催して商品に触れる機会をつくる

飲食店におすすめなのが「利き〇〇」イベントを開催することです。よくある利き酒や利きコーヒーだけでなく、利き焼き鳥や利きアイスなど、自店舗の看板メニューやイチ押し商品を使った利き〇〇イベントは顧客にとっても自店舗にとってもメリットがあるでしょう。

初めて来店する顧客にとっては気軽に商品を味わえますし、店舗にとってはいくつもの商品を味わってもらえるのでリピーターの獲得に繋がります。目新しさやエンタメ性も高いので、ぜひ検討してみましょう。

店員とのにらめっこで勝てば割引になるキャンペーンを実施する

飲食店の魅力は商品だけでなく、雰囲気や店員との関係性など「目に見えない価値」にも存在します。特別な道具を使わず、また従業員への特別な教育コストをかけずにお店への愛着を湧かせるためにおすすめなのがにらめっこやじゃんけんといったゲームです。

用意したゲームに勝利したら商品をサービスしたり、割り引きになったりといったメリットを用意しておけば、顧客は楽しみつつ自店舗の魅力を感じてくれます。

また、店員と顧客がコミュニケーションを取る機会を用意すれば、顧客は非日常を楽しみつつお店の雰囲気を味わい、居心地の良さを感じて再度足を運んでくれるでしょう。接客が苦手な従業員でも取り組みやすいよう、店舗を挙げてバックアップするスタンスを取るのが大切です。

季節に合わせたコスプレやイベントを開催する

飲食店の内装や雰囲気づくりで大切なのが季節感です。飲食店という非日常な空間に求められるのは、居心地の良さや特別感。これらを演出する上で重要なのはお店のコンセプトと、時期によって変化する季節感と言えます。

季節ごとのイベントに合わせて内装を変えたり、店員を巻き込んだコスプレやイベントを実行したりすれば、簡単に季節感を取り入れた非日常の空間を演出できるでしょう。

独自のタグを使って商品をシェアしてもらうキャンペーンを実施する

SNSで有効な施策として、店舗独自のタグを作成し、来店した顧客にタグを使った投稿をしてもらうことで宣伝に繋げる企画が挙げられます。同様の施策としては、Instagramの「キャンペーン」が有名です。

飲食店のマーケティングにおいて、今やSNSの活用は必要不可欠。お店のアカウントで情報発信をするのはもちろんですが、お客さんが自ら発信する口コミや自発的な投稿は、公式情報よりも強い宣伝効果や信頼性があると言えるでしょう。

独自のタグやキーワードを組み込んだ投稿をしてもらえれば、消費者目線の信頼できる投稿をより多く発信できます。お店で実施するオフライン施策と併せて、こうしたオンラインの施策も検討してみましょう。

閉店時間中に自店舗の商品に沿ったワークショップを開催する

店舗の営業時間外に一般の方やサークル、団体、他の企業に店舗を貸し出してワークショップを実施するのもおすすめです。

自店舗の商品や魅力と地続きのテーマでワークショップを実施すれば、お店のファンだけでなく、「お店に行ったことはないけれど、そのテーマは気になる」といった潜在顧客の来店が期待できます。

例として、「喫茶店が開催する美味しいコーヒーの淹れ方講座」や「八百屋が教える旬野菜の料理教室」など、通常の営業内容と関連しつつ、プロとしての価値が発揮されるようなテーマを選びましょう。

コロナ禍に負けない強い集客力を手に入れよう

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コロナ禍で消費が落ち込み、飲食店は大きな打撃を受けています。この記事で紹介した内容を参考にしつつ、ぜひ自店舗に適したマーケティング施策や面白いサービスを実施してみましょう。