国内を中心に多くのユーザーに利用されているコミュニケーションツール「LINE」。事業者や企業のマーケティングツールとしても活用できるため、公式アカウントを開設し、マーケティングに活かす事業者が増加しています。

特に実店舗ビジネスや小規模事業者にとって有効なマーケティングツールとなるLINEの公式アカウントについて、おすすめする理由や運用のコツを詳しく見ていきましょう。

目次
  1. LINEの公式アカウントとは?
  2. 実店舗がLINEの公式アカウントを活用すべき理由とは?
    1. 費用をかけずに予約や顧客管理を一元化できる
    2. Webサイト上に予約フォームを用意しなくてよい
    3. 新規顧客へのリーチや既存顧客とのコミュニケーションに使える
    4. メッセージが顧客の目に留まりやすく来店につながる
    5. クーポン配布やリッチメニューなど来店を促す機能が付随している
    6. チャットボットを活用すれば来店までの導線を自動化できる
  3. 実店舗がLINE公式アカウントを運用する際のコツとは?
    1. ロゴやユーザー名は自店舗だと分かるように設定する
    2. ユーザーが追加したくなる「友だち追加のメリット」を用意する
    3. リッチメニューやクーポンなどを用意する
    4. チャットボットを設定してユーザーにかける負荷を減らす
    5. メッセージ配信は顧客目線で「ウザくない」範囲に留める
  4. 【集客効果UP】実店舗のLINE公式アカウント活用事例3選
    1. 【飲食】クーポン活用で来店を促進「ぼてぢゅう」さん
    2. 【小売】チラシ削減&友だち8,000人超「エンド商事株式会社」さん
    3. 【その他】サイトへの流入240%増の弁護士事務所「株式会社スタイル・エッジ」さん
  5. 今日から始める!LINE公式アカウントを開設する流れとは?
    1. 公式アカウントを開設する
    2. 既存アカウントとひも付けるか新規登録かを選択する
    3. 認証済アカウントの申請を行う
    4. アカウント情報を整えて運用を始める
  6. 無料でLINE公式アカウントを開設して集客力をアップさせよう

LINEの公式アカウントとは?

社会的なメディアの無料イラスト

近年は事業者や企業のマーケティングツールとしても注目を集めているLINE。一般のアカウントではなくLINE公式アカウントを開設し、顧客と直接やりとりをしたり、予約管理やクーポン配布といった機能を活用したりする事業者が増加しています。

後述しますが、アカウント開設から運用まで無料で実施でき、利用しているユーザーが多く、幅広い業種や地域で効果が見込めることから、WebマーケティングやSNSマーケティングに力を入れられない事業者にもおすすめです。

中でも、顧客との関係性が売上に直結する実店舗ビジネスでは、積極的にLINE公式アカウントを利用しましょう。

実店舗がLINEの公式アカウントを活用すべき理由とは?

実店舗がLINE公式アカウントを活用すべき6つの理由
  • 費用をかけずに予約や顧客管理を一元化できる
  • Webサイト上に予約フォームを用意しなくてよい
  • 新規顧客へのリーチや既存顧客とのコミュニケーションに使える
  • メッセージが顧客の目に留まりやすく来店につながる
  • クーポン配布やリッチメニューなど来店を促す機能が付随している
  • チャットボットを活用すれば来店までの導線を自動化できる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

費用をかけずに予約や顧客管理を一元化できる

LINE公式アカウントを活用すれば予約や顧客管理を一元化できます。実店舗では予約管理や顧客データの管理が重要ですが、顧客数が多くなればなるほど業務が煩雑になってしまうでしょう。

無料でLINE公式アカウントを開設・運用し、予約やカスタマーサポートの窓口として利用すれば、逐一管理ツールやデータベースを確認せずにLINEのチャット画面を開くだけで予約管理や顧客管理、カスタマーサポート業務を実施できます。

有料のツールを利用するのも一つの手法ですが、LINE公式アカウントを活用し、無料で顧客管理を一元化できれば、実店舗ビジネスがさらにスムーズかつシームレスに展開できるでしょう。

Webサイト上に予約フォームを用意しなくてよい

実店舗の中には自社サイトを運用し、予約フォームを掲載している店舗も存在します。しかし、それ以外にも直接の電話予約やメール予約、ポータルサイト経由の予約など、様々な窓口から予約が入ることも。

これらの窓口をLINEに統合すれば、ユーザーが予約するまでのハードルを低くしつつ、予約管理の手間を大幅に削減できるでしょう。国内のほとんどのスマホユーザーがLINEを活用しているため、取りこぼす恐れも低いと言えます。

むしろ「LINEで簡単に予約できる」という状態は、いちいちWebサイトに情報を打ち込んだり、電話をかけたりするよりも手間が少なく、ユーザーにとって大きなメリットになるのです。

また、予約窓口をLINEに統合するのは、まだWebサイトを持っていない実店舗や、開店したばかりでWebサイトに力を入れられない実店舗にもおすすめの手法。予約フォームも組み込んだWebサイト制作をプロに依頼すると、多少費用が上乗せされてしまいます。

このコストを削減できるという意味でも、実店舗ビジネスを展開する事業者の方は、LINE公式アカウントを活用するのがおすすめです。

新規顧客へのリーチや既存顧客とのコミュニケーションに使える

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新規顧客へ自社の存在を知ってもらったり、既存顧客とのコミュニケーションを取ったりすることは実店舗ビジネスを成功させる上で重要ですが、それを実現してくれるツールはそう多くありません。しかし、LINE公式アカウントはその解決策になるでしょう。

ユーザーにとってLINEは友人や知人とコミュニケーションを取る、日常に根ざしたアプリ。利用頻度は人によってバラつきがありますが、トーク画面や通知をほとんど毎日目にするユーザーも少なくないでしょう。

公式アカウントからメッセージやクーポンを送ることで、まだ来店したことのない新規顧客に存在を認知してもらえますし、既に何度も来店しているユーザーに対しては存在感をアピールし、日常の中で自然に思い出してもらえます。

結果として、LINE公式アカウントを適切に運用できれば、自店舗に興味を持ってくれるユーザーと距離を縮めたり、リピーターの獲得や来店頻度の向上に繋がったりといった好循環を生み出せるので、実店舗ビジネスとの相性が良いと言えるでしょう。

近年ではSNSを活用し、ユーザーと距離を縮めながらマーケティングを実施する手法も人気ですが、どうしても一方向のコミュニケーションになりやすく、距離を縮めるには時間やスキルが必要です。

LINE公式アカウントは、LINEというアプリが獲得している市民権やブランド力を活かしつつ自社のマーケティングに繋げられる、有効な施策と言えます。

メッセージが顧客の目に留まりやすく来店につながる

先述したように、LINEというアプリはユーザーが日常的に利用するサービスなので、メッセージが目に留まりやすく、思い出してもらいやすいという特長があります。

例えば居酒屋を経営している場合、お昼休みの12時台や帰社時間の17~18時頃に合わせてメッセージを送付すれば、「帰りに寄っていこうかな」と来店を誘発しやすくなるでしょう。

メッセージを送る時間や頻度には注意が必要ですが、メッセージの内容も含めて上手くコミュニケーションが取れれば、他のWebマーケティング手法と比べても早く売上に繋げられるのです。

もちろん長期的な効果も見込め、顧客の目に留まる回数が多ければユーザーからの好感度も高まり、同業他社との差別化を実現したり、来店頻度を向上させたりといったメリットが得られます。

クーポン配布やリッチメニューなど来店を促す機能が付随している

LINE公式アカウントの運用が来店を促進する理由は、「ユーザーの目に留まりやすい」ことだけではありません。他にも、クーポンの配布やリッチメニューの作成など、ユーザーが足を運びやすくなる仕組みをいくつも組み込めるのが大きな特長です。

クーポンを配布するためには、ポータルサイト上でクーポンを設定したり、自社サイト上にクーポン情報を掲載したりといった方法が挙げられますが、LINE公式アカウントを活用すれば、友だちに対して直接クーポンを送付できます。

このように、「待ち」ではなく「攻め」のスタンスで来店を促せるツールはそう多くありません。

また、公式アカウントとしてLINEアカウントを作成すると、リッチメニューという機能が利用できます。

ユーザーが公式アカウントとのトーク画面を開いたときに高い視認性と操作性を両立でき、いちいちチャットを打たずにワンタップで店舗情報を確認できたり、クーポンや予約を取ったりと、コミュニケーションが簡単に生まれる機能です。

いずれの機能も無料で利用できるので、実店舗ビジネスを展開する上では欠かせません。

チャットボットを活用すれば来店までの導線を自動化できる

LINE公式アカウントで最も重宝されるのが「チャットボット」機能です。AIが自動的に返答してくれるサービスで、無料で利用できる高性能なカスタマーサポートとして高い人気を誇ります。

事前に特定のキーワードとそれに対する返答を用意しておけば、ユーザーからのチャットに対して決まった返事を返してくれるので、ユーザーの待ち時間を減らし、顧客対応のコストも削減できるのがメリットです。

ユーザーがストレスなく予約や質問を完了させられるため、顧客満足度を高められるでしょう。実店舗ビジネスではなかなか人的コストを割けないこれらの業務を自動化できるのは大きな魅力であり、他社との差別化にもなるので、ぜひ活用したいところです。

実店舗がLINE公式アカウントを運用する際のコツとは?

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実店舗がLINE公式アカウントを運用する際には、いくつかのコツを押さえておく必要があります。

LINE公式アカウント運用のコツ5選
  • ロゴやユーザー名は自店舗だと分かるように設定する
  • ユーザーが追加したくなる「友だち追加のメリット」を用意する
  • リッチメニューやクーポンなどを用意する
  • チャットボットを設定してユーザーにかける負荷を減らす
  • メッセージ配信は顧客目線で「ウザくない」範囲に留める

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ロゴやユーザー名は自店舗だと分かるように設定する

LINE公式アカウントを開設しただけでは、誰のアカウントなのかが分からず、友だち登録をしてもらえない恐れがあります。まずはアカウント情報を整え、友だちを増やすことが大切です。

店舗のロゴやシンボルをプロフィール画像に設定し、ユーザー名は自店舗だと分かるように記載しましょう。「【公式】〇〇(店名)」のように視認性と分かりやすさを両立するのがおすすめ。

一目見て誰のアカウントなのかが分かるよう、画像と名前を工夫して設定しましょう。

ユーザーが追加したくなる「友だち追加のメリット」を用意する

当然ながら、LINE公式アカウントを開設しただけでは友だちが獲得できません。

友だちを獲得するためには、店舗での告知はもちろん、他のSNSやWebサイト上での広報など、様々な形で見つけてもらう必要があります。しかし、見つけてもらっただけでは、友だちになるメリットがないため、追加してくれる可能性は低いでしょう。

「最新情報をお届け!」だけではヒキが弱いため、友だち追加したユーザーに何かをサービスし、友だち登録したくなるようなメリットを用意するのがおすすめです。

リッチメニューやクーポンなどを用意する

LINE公式アカウントを開設した直後のデフォルト状態では、ユーザーから見たときに、通常のアカウントと変わらない普通のトーク画面が表示されます。

ここにリッチメニューやクーポン情報の作成、チャットボットの設定などを加え、来店を促す導線を作ったり、ユーザーの負荷を減らしたりする必要があるのです。まずは、リッチメニューの設定とクーポン作成に取り掛かりましょう。

リッチメニューは画像編集ソフトやテンプレートを活用して、自店舗のイメージに合ったものを用意するのが良いでしょう。クーポンは簡単なバナーを作成し、クーポン画面で表示されても違和感のないものを用意しておきます。

チャットボットを設定してユーザーにかける負荷を減らす

チャットボットを設定すれば、24時間いつでも自動的にユーザーからのチャットに返事をしてくれるので、手動返信の手間を大幅に減らせます。

具体的には、よくある質問をあらかじめリストアップしておき、質問に含まれる単語や内容と、それに対する返答を設定しておくのが良いでしょう。営業時間やアクセス、料金などが当てはまります。

これらの質問に即時返信が返ってくるのはユーザーにとってもありがたく、店舗オーナーにとっても手間を減らせるので、まず初めに取り組んでおきたい設定です。

メッセージ配信は顧客目線で「ウザくない」範囲に留める

LINE公式アカウントの開設直後にありがちなのが、「とにかくたくさんメッセージを送ろう」と考え、激しい頻度でメッセージやクーポンを配布してしまうこと。

しかし、店舗側の気持ちが先行し、ユーザーの気持ちがおざなりになってしまうと、公式アカウントはすぐにブロックされてしまいます。メッセージの頻度や内容には注意が必要です。

顧客目線で「ウザくない」範囲に留めることが大切ですが、少なすぎてもユーザーから思い出してもらえなくなったり、ファン化が進まず効果が薄まったりといったデメリットがあります。

多くても週に4通、少なくとも2週間に1通程度の頻度でメッセージを送付するようにしましょう。

【集客効果UP】実店舗のLINE公式アカウント活用事例3選

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ここからは、実際に実店舗でLINE公式アカウントを活用した事例を紹介します。自店舗で活用する際の参考にしてみましょう。

【飲食】クーポン活用で来店を促進「ぼてぢゅう」さん

49万人の友だち追加を獲得した「ぼてぢゅう」さんは、2017年10月にLINE公式アカウントを開設。

若年層とのコミュニケーションを促進し、来店を促すために公式アカウントを開設し、月に2回のメッセージ配信では、お得なキャンペーン情報やデザートプレゼントといったメリットのある情報を発信しユーザーの来店を促進してきました。

ポイントは「ユーザーの生活サイクル」に合わせたメッセージ配信。邪魔にならず、目に留まりやすいタイミングを見計らいつつユーザーにメリットのある情報を配信し、ブロックされにくく好感度が高まりやすい運用を実現しました。

ユーザー目線での運用が成功した好事例と言えるでしょう。

参考:友だち数49万人!ユーザーに来店を促すお好み焼店クーポン活用とは

【小売】チラシ削減&友だち8,000人超「エンド商事株式会社」さん

業務用スーパーを展開するエンド商事株式会社は2020年に公式アカウントを開設。店内での告知やクーポン配布を中心に公式アカウントの存在を広め、1年で8,000人もの友だちを獲得しています。

ポイントは、コストがかさみ、情報の自由度が低いチラシという媒体からの脱却を実現したこと。LINE公式アカウントの活用やLINEチラシへのシフトで、印刷費の削減に成功しています。

紙媒体とLINE媒体で違いがあるのか、実際にテストを実施して検証するなど、小売業のLINE公式アカウント活用として見習いたい好事例と言えるでしょう。

参考:店内告知とクーポン機能で友だち数8,000人突破!折り込みチラシも削減した業務用スーパーの友だちの集め方

【その他】サイトへの流入240%増の弁護士事務所「株式会社スタイル・エッジ」さん

実店舗と聞いてイメージしにくい士業者の分野でもLINE公式アカウントは効果的に活用されています。

弁護士や司法書士といった士業者向けにマーケティングやブランディングのコンサルティングを提供する株式会社スタイルエッジでは、LINE公式アカウントやLINE広告を活用し、クライアントである弁護士事務所のWebサイトへの流入数を240%アップ。

弁護士事務所を想起するタイミングはそう多くありませんが、必要になるタイミングは日常のどこかに潜んでいます。同社では、その時に思い出してもらえるよう、すぐに顧客になるわけではない潜在ユーザーとの関係性を構築しておくためにLINE広告を活用しました。

LINE公式アカウントはもちろん、LINE広告という形で日常に溶け込ませながら顧客の認知を図る手法は、様々な業種で応用が効きそうです。

参考:弁護士事務所のWebサイトを訪問するUU数が240%アップ!LINE広告による認知拡大で、弁護士をもっと身近に

今日から始める!LINE公式アカウントを開設する流れとは?

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ここからは、実際にLINE公式アカウントを開設するための流れについて見ていきましょう。

公式アカウントを開設する

まずは次のリンクからLINE公式アカウントを開設します。アカウント開設とLINE広告の利用のどちらかを選べますが、ここでは「LINE公式アカウント開設 (無料)」を選択しましょう。

既存アカウントとひも付けるか新規登録かを選択する

既存のLINEアカウントとひも付けるパターンと、新しくアカウントを開設するパターンのどちらかを選択しましょう。ひも付ける場合は上の緑のボタン「LINEアカウントでログイン」を選択し、新しく開設する場合は下部のテキスト「アカウントを作成」を選びます。

新しく作成する場合はメールアドレスを入力し、届いたメールにしたがって情報を記入していけば登録は完了です。

認証済アカウントの申請を行う

LINE公式アカウントには「認証済アカウント」と「未認証アカウント」の2種類が存在し、認証されれば様々なメリットがあります。店舗に掲載できる販促用ポスターをダウンロードできたり、LINEアプリ内の検索対象になったりするので、できれば認証を受けましょう。

アカウントの開設時にも認証の申請ができるので、このタイミングで一緒に申請しておくことをおすすめします。店舗の正式名称を記入し、その他の情報にも間違いがなく、WebサイトやSNSなどでも実態が確認できれば審査は問題なく通過できるでしょう。

アカウント情報を整えて運用を始める

アカウントが開設されたら、ダッシュボード画面にログインできるようになります。ダッシュボードの「プロフィール」から各種設定が行えるので、名前やアイコン、ステータスメッセージ、背景など細かな設定を整えておきましょう。

また、先述したようにリッチメニューやチャットボットなどの設定も済ませておくと、すぐに運用をスタートできます。

参考:LINE公式アカウントの作り方|開設の設定と運用方法

無料でLINE公式アカウントを開設して集客力をアップさせよう

Eコマースの無料写真

無料で開設・運用できるLINE公式アカウントは、実店舗集客の強い味方です。多機能で使いやすい直感的な操作感が魅力なので、まだ導入していない方はこの機会にぜひ導入してみてはいかがでしょうか。

LINE公式アカウントを基軸として、その他のマーケティング施策にも波及させていけば、さらなる集客力アップに繋げられるでしょう。