実店舗を経営している方にとって、店舗への集客は大きな懸念事項のひとつ。とくに店舗運営も自分で行っている場合は、集客のためにかける予算や時間が確保できず、自社の集客力を育てられないことも少なくありません。

そこで検討したいのがLINE公式アカウントの活用。実店舗オーナーの方におすすめの集客方法です。本記事で紹介する成功事例や活用方法を踏まえ、ぜひ今後の集客に役立ててみましょう。

公式LINEアカウントとは?

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国内トップクラスのシェアを誇るメッセージアプリ「LINE」には、通常のユーザーアカウントに加えて「公式アカウント」というアカウントが存在します。主に企業やインフルエンサーといった、ひろく影響力を持っている存在が開設するアカウントです。

近年は公式LINEアカウントを活用して自社のマーケティングに繋げる企業も増え、規模や業態を問わず顧客とのコミュニケーションツールやカスタマーサポート機能を果たすアプリとして注目を集めています。

登録や開設、運用はすべて無料で始められるので、手軽にスタートできるのも大きな魅力ですが、最も大きな利点は国内外の多くのユーザーが親しんでいるLINEというアプリの中に自社のアカウントを作れること。

ユーザーが毎日目にするアプリの中で存在感を放てば、日常の中で自社の名前や情報、商品を目に留めてもらえます。結果として、LINE公式アカウントを適切に運用できれば、来客数の増加やCRMといった経営に資する結果に繋がるのです。

実店舗がLINE公式アカウントを利用すべき理由とは?

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LINE公式アカウントは様々な規模や業態で活用されているマーケティングツールのひとつですが、中でも実店舗の経営において非常に有用なツールと言えます。その理由として、以下の4点にあるでしょう。

LINE公式アカウントが実店舗におすすめな4つの理由
  • 予約管理や顧客との連絡ツールを一元化できる
  • 顧客の目に留まりやすく広告効果が高い
  • 導入費用がかからず高い効果が期待できる
  • 新規獲得からリピーター化まで幅広く活用できる

それぞれの理由について、詳しく解説します。

予約管理や顧客との連絡ツールを一元化できる

実店舗の業態によっては顧客の予約を管理する必要があり、専用のツールを導入していることもあるでしょう。また、どの業種であっても顧客と連絡を取ったり、顧客管理ツールを用いて適切なマーケティングに繋げたりする必要があります。

LINE公式アカウントはこれらの機能を全て兼ね備えており、LINEというプラットフォームを通して簡単に予約や店舗とのやりとりを進められるため顧客にとっても大きなメリットがあるのです。

店舗にとっても、逐一異なるツールを導入する必要がなく、また無料で利用できるため高い費用対効果が実現できます。顧客管理に関する事務作業に時間を追われている場合は、導入しておくのがおすすめです。

顧客の目に留まりやすく広告効果が高い

LINEはSNSや動画プラットフォームとは異なり、ユーザーの日常に強く結びついたアプリです。友人や家族と連絡を取り合うツールなので、ユーザーにとっても親しみが強く、閲覧する機会も多いという特長があります。

そんなLINEの中で、自社の公式アカウントからメッセージやクーポンが送られてくれば、顧客はそれを目にし、すぐさま来店には結びつかなくとも「思い出す」ことには繋がるでしょう。

近年は情報の加速化や多様化が進み、ユーザーは常に何らかの情報から影響を受け続けています。その中でもより日常に根差したLINEというプラットフォーム上で「友だち」として情報を提供できるのは大きな強みであり、ゆくゆくは来店数の向上が見込めるでしょう。

導入費用がかからず高い効果が期待できる

LINE公式アカウントの利用をおすすめする一番の理由は「費用がかからない」こと。アカウントの開設から運用まですべて無料で始められるので、大規模なマーケティング施策を打ち出せない小規模ビジネスのオーナーにとって強い味方となるでしょう。

必要に応じてLINE広告を打ち出すこともできるので、基本的な運用は自らが行い、規模を拡大したいと感じたタイミングで広告のために費用をかけられます。まさに実店舗ビジネスに最も適したマーケティングツールと言えるでしょう。

新規獲得からリピーター化まで幅広く活用できる

LINE公式アカウントは新規顧客の獲得や既存顧客のリピーター化やファン化にも活用できます。初めて訪れた顧客にはクーポンを配布して再来店を促し、既存の顧客には最新情報や商品情報を提供して興味を維持・強化してもらう、といった使い方ができるのです。

このように、カスタマージャーニーの程度に合わせて対応を変化させられるのも大きな強みです。

このあたりは顧客管理ツールでも代用可能ですが、先述したようにLINEであれば予約管理やカスタマーサポートとしても利用できるので、オールインワンのサポートツールと捉えれば最もコストパフォーマンスが高いと言えます。

LINE公式アカウントを活用した実店舗の集客事例7選

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ここからは、LINEを活用した実店舗の集客事例について詳しく解説します。ぜひ自社の状況に当てはめてイメージしながら読み進めていきましょう。

【開店前から集客施策を展開】焙煎豆鶴さん

LINE公式アカウントを活用し、店舗の開店前から集客施策を展開した焙煎豆鶴さん。開店の1ヶ月前から店頭に友だち追加用のQRコードを掲載し、周辺の見込み顧客に対するアクションを開始しています。

また、何らかのメリットがなければ友だち追加してもらえないことを見越して、友だち追加してくれた先着100名のユーザーを対象にコーヒーミルをプレゼントする企画を打ち出しました。

友だちの獲得はもちろん、その後にコーヒー豆を求めて来店する顧客を100名獲得できると考えれば非常に効果的な施策と言えるでしょう。LINE公式アカウントを活用した一石二鳥の施策から学ぶことは非常に多いですね。

参考:LINE公式アカウント 店舗(飲食・小売)の活用事例│LINE for Business

【テイクアウトの宣伝に活用】長沼精肉店さん

メッセージの配信を通して売上の拡大に繋げた長沼精肉店さん。地域のお肉屋さんとして古くから親しまれてきた同店では、2017年の12月に顧客とのコミュニケーションを深めるために公式アカウントを開設しました。

チラシのような従来の広告手法では顧客に対して一方向のコミュニケーションになってしまいますが、LINEを活用すれば双方向のコミュニケーションが可能になると考え、クーポン拡充やメッセージ配信を通してより密接な関係を構築することを目指します。

店舗での声掛けやWebサイトからの登録を促し、開設から3年で2,600人の友だちを獲得。関係構築を目指した運用スタイルも功を奏し、メッセージ配信から10分でテイクアウトの予約が埋まり約20万円の売上に繋がったことも。

顧客との双方向コミュニケーションによってこれまでより深くニーズを読み取れた結果、さらに踏み込んだサービス提供にもつながり、本来の目的であった顧客との関係構築にも良いサイクルが生まれています。

参考:1度のメッセージ配信でテイクアウト売上20万円! ユーザーとの距離の近さを数字につなげる精肉店のLINE活用│LINE for Business

【ショップカードでリピ獲得】SUZU CAFEさん

広島と東京を中心に8店舗を展開する「SUZU CAFE」運営の株式会社コンプリートサークル。運用パートナーの代理店と協調しながら公式アカウントを運用し始めたのが2019年11月、それ以降は各店舗のコンセプトを重視しつつ顧客に友だち追加を呼びかけています。

中でも同社が活用しているのが「ショップカード」という機能。実店舗の多くが取り入れている「ポイントカード」をオンラインで使えるようにした、LINE公式アカウントの機能のひとつです。

ポイントが貯まった際のサービス内容は自由に設定でき、同社では「来店したグループ全員にランチデザートをサービス」や「雨の日はポイント付与数を増加」といった特色ある活用方法で来店を促しています。

この施策が心をつかみ、友だち追加した全ユーザーの約半数がショップカードを利用するという驚くべき結果に。リピーターからファン化へと繋げた好事例として参考にしていただきたい内容です。

参考:友だちの約半数が利用! LINE公式アカウントの「ショップカード」でリピーター育成│LINE for Business

【顧客との関係構築に大活躍】四季と六花さん

茨城県笠間市で地域のフルーツを活用したかき氷専門店を営む四季と六花さん。同店では、LINE公式アカウントからの予約率100%という驚異的な数字を誇り、予約管理の全てをLINEで一元管理しています。

それ以外にも、来店後のアンケートや初回のお問い合わせといったカスタマーサポート全般がLINEに統合されており、複数のツールで管理するのではなくLINE公式アカウントのみで顧客管理を成功させているのです。

LINEで予約できる手軽さが顧客にメリットを与えたこともあり、繁忙期でないにもかかわらず予約は3週間先まで埋まっている状態に。LINE公式アカウントを活用した実店舗の事例としてぜひ参考にしてみてください。

参考:LINE公式アカウント 店舗(飲食・小売)の活用事例│LINE for Business

【コスト減と親密度UPに貢献】ピクシーラッシュさん

アイラッシュサロン「ピクシーラッシュ」では目元の悩みを抱えた女性に向けて様々なメニューを展開しています。同様のサービスを提供する競合がひしめき合う中、同店が差別化を図るために活用したのがLINE公式アカウントでした。

同業種では、大手予約サイトを経由してサービスを受けるユーザーが多く、競合の多くが予約サイトへ店舗情報を掲載し、集客に繋げるために多額の広告費を投じていました。このコストを削減しつつ、顧客との関係性を構築する上でLINEはうってつけのツールだったと言えます。

新規顧客のための入口として予約サイトを活用しつつ、来店した顧客に対して「同じ価格でサービスが受けられること」「お得な情報を配信していること」などを訴求し、友だち追加を促しました。

また、紙のポイントカードとLINEのショップカードの間に差を付け、LINEの友だち追加に繋がる自然な導線を確保したのが好手で、それ以降のやりとりや予約をLINE経由に切り替え、予約サイトに集客力を依存しないような方針を取っています。

それに加えて、サロンのように顔と顔を突き合わせてサービスを提供する業種では、LINE公式アカウントを介してユーザーと会話を行うことが顧客との親密度を高めるうえで重要です。実店舗のアカウント運営の参考になる好事例と言えるでしょう。

参考:脱・予約サイトを目指すアイラッシュサロンのLINE公式アカウント活用│LINE for Business

【生徒との密なやりとりが可能に】ESOH個伸塾さん

千葉県で3教室を運営する、学習塾のESOH個伸塾さんは2018年に生徒とのコミュニケーションツールとしてLINE公式アカウントを開設。対象の生徒は小学生から高校生までと幅広く、これまでは全ての連絡手法が電話やメールによるものでした。

従来のやり方では保護者や生徒との距離が縮められないと感じ、時間や文面における制約が少ないLINEを使ったやり取りに切り替えました。テスト範囲の共有や学習に関する質問なども個別に対応できるため、双方にとって大きなメリットのある施策といえるでしょう。

また、新型コロナウイルスの感染拡大によって学校が休校になり、塾の運営方針も大きく変更せざるを得ない状況になっても、オンライン授業への切り替えや方針の共有など、LINEを活用していたおかげでスムーズな対応が可能に。

これらの取り組みの結果として、保護者や生徒の悩みにいち早く対応でき、LINE公式アカウントを導入してから退塾率が28%減少しました。実店舗運営の一部をオンライン化するメリットを感じられる好事例と言えるでしょう。

参考:きめ細やかなフォローで退塾率28%減! 学習塾のLINE公式アカウント活用│LINE for Business

【申込から入居までLINEで完結】株式会社縁蔵ホールディングスさん

初期費用が安いことから人気を博す不動産仲介サービス「お部屋探しのハートサポート」を展開する株式会社縁蔵ホールディングス。LINE公式アカウントを活用し、広告費を削減するビジネスモデルで初期費用を抑えた価格設定を実現しています。

本来の不動産仲介はポータルサイトへ物件を掲載し、サイトを訪れた顧客に物件を選んでもらうモデル。ポータルサイトへの掲載には出稿料がかかり、その結果として現在の仲介手数料の相場金額が成立しています。

一方同社では動画投稿サイトで目を惹く動画を投稿し、興味を持ってくれたユーザーを公式アカウントへ誘導して見込み顧客を獲得。チャットでやり取りしながら物件の契約を進め、広告費を削減しているのです。

また賃貸借契約で必須の重説(重要事項説明)についても、近年注目を集めている「IT重説」で対応し、LINE上で契約まで完結できるような仕組みを整えています。

顧客が扱い慣れているツールであり、またコロナ禍においても変わらぬ効果を発揮できることもあり、同社の提供する新たなサービスの基軸としてもLINE公式アカウントの可能性を感じられる事例と言えるでしょう。

参考:申し込みから入居までLINEで完結! ユーザーファーストな不動産仲介│LINE for Business

LINE公式アカウントを活用して実店舗の集客を強化する5つのコツ

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ここからは、実際にLINE公式アカウントを活用して集客を強化するために押さえておきたい5つのコツについて紹介します。アカウントの開設や運用はすぐにスタートできますが、成果に繋げるには以下のコツを押さえることが大切です。

業務のボトルネックになっている箇所をLINEで代用する

実店舗でLINEを活用する場合は集客に役立てるだけでなく、店舗運営でボトルネックになっている業務をLINEで自動化・半自動化できないか検討する視点が大切です。

集客に繋げるだけでなく業務効率化を図った好事例が多かったように、ショップカードやチャットボットを活用すれば、実店舗に足りない箇所を補いつつ業務にかける様々なコストを削減できます。

公式LINEアカウントの機能の多くは実店舗の運営で効果を発揮するため、アカウントを開設する際は「この業務は自動化できないか」という視点で普段の業務を観察してみると良いでしょう。

顧客層やターゲットを明確にする

公式LINEアカウントを開設・運用する際は狙う顧客層やターゲットが明確になっている方が好ましいです。メッセージやクーポンを配信する際にどんな内容にするべきか分かりやすくなり、結果としてアカウントの方向性を決定づける際の重要な指針となります。

新しく開店する場合は事前のマーケティングやペルソナの策定を通して、既に店舗運営をスタートしている場合は既存顧客の分析を通して公式LINEアカウントのターゲットを明確にしておきましょう。

友だち登録してもらうための導線やメリットを用意する

いきなり「友だち登録してください」と呼びかけてもユーザーにメリットが無ければ友だちに追加してもらうことは難しいと考えましょう。何かメリットを用意したり、適切な導線を用意しておくことでスムーズに友だちを獲得できます。

その上で、事例の中で紹介した焙煎豆鶴さんの施策は非常に有効です。友だち登録を呼びかけるだけでなく、その後のリピーター化まで見据えたサービス設定は、長期的な売上の拡大にもつながるでしょう。

メッセージ配信の内容や頻度は「顧客目線」で

公式LINEアカウントを開設したばかりの頃にありがちなのが、メッセージを配信すれば顧客が必ず読んでくれると思い込んでしまうことです。公式アカウントから届くメッセージは少なからず煙たがられる、という前提に立ってメッセージを配信することが大切。

ユーザーがLINEを利用する目的は知人とチャットや電話をするためですから、その「ついで」に目を通してしまいたくなるような、お得感のある情報を提供しましょう。その上で、メッセージを配信する頻度や時間帯にも注意しましょう。

深夜にメッセージを配信したり、高頻度でチャットを連投したりすると、通知が目に留まり過ぎてしまい、ブロックや非表示に設定されてしまう可能性があります。顧客目線に立ち、目立ちすぎないよう心がけることが大切です。

チャットボット機能やリッチメニューを活用する

公式LINEアカウントの限定機能としてチャットボット機能やリッチメニュー機能が挙げられます。チャットボットとは、事前に設定したキーワードに対して定型文を返す自動応答機能で、リッチメニューとは視認性の高いトーク画面のメニュー枠のことです。

チャットボットを適切に活用すれば、24時間対応のカスタマーサポートを実現でき、予約の手続きもスムーズに進められます。こうした細かな施策は顧客満足度に直結するため、新規顧客の獲得や既存顧客との関係性を強化する上で非常に大切です。

リッチメニューは店舗や商品のブランディングにも繋がる重要な要素で、設定しておけばUIを大きく向上させられます。これらの機能を使いこなして、ユーザーと店舗の負担を減らしながら集客力を獲得しましょう。

公式LINEを活用して実店舗の集客に役立てよう

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大規模なマーケティング施策を打ち出せない小規模な企業であっても、LINE公式アカウントを活用して集客力や様々なメリットを得られます。また、コロナ禍の今だからこそ、従来とは異なる形でユーザーとの関係性を構築する施策が求められているのでしょう。

本記事で紹介した内容を参考にしつつ、LINE公式アカウントを運用して実店舗ビジネスに役立ててみてください。