実店舗型ビジネスの集客方法は多岐にわたりますが、その中でもWebに出稿するリスティング広告はおすすめの広告手法です。少額からスタートできるため、実店舗型の小規模ビジネスとも相性が良く、コツを押さえて運用すれば高い効果が期待できます

「Web広告は初めてで勝手が分からない…」
「ローカルキャンペーンとは何が違うの?」

といった不安や疑問にもお答えしつつ、リスティング広告の運用で押さえておきたい4つのコツを詳しくご紹介します。

目次

リスティング広告とは?

そもそもリスティング広告とは、GoogleやYahoo!が提供している検索エンジン上で、検索されたキーワードに対応して表示される広告を指します。

キーワードに対応して表示される、という点が重要であり、リスティング広告の最大の特徴です。この仕組みを活用して、事業の規模や業種を問わずさまざまな事業者が広告を出稿しています。この仕組みを広告に落とし込んだものが、リスティング広告です。

例えば⋯⋯

「店舗 集客」というキーワードで検索されたときに、あらかじめ準備していた「店舗の集客にお困りの方に届けたい5つのコツを紹介!」という広告文が表示されるような仕組みを指します。

もう少し踏み込んで解説すると、「店舗 集客」というキーワードで検索する方は、実際に店舗の運営や経営をおこなっているが実店舗への集客で困っており、具体的にどんな施策があるのか知りたい、と思っていることが想定されます。

こうした「なぜそのキーワードで調べたのか」「何を知りたいのか」ユーザーニーズと呼びますが、ユーザーニーズを的確に読み取って、ニーズを満たすような広告文と内容を作成して検索欄の上位に表示できれば、一気にアクセス数や問い合わせ数を増加させられるでしょう。

検索エンジンはユーザーニーズに対応した良質な記事が自動的に上位に表示されるような仕組み(自然検索)で運営されています。しかし、リスティング広告はこうした自然検索で上位にある記事よりもさらに上位の、すぐに目に入る場所に掲載されるので、高い視認率が期待できるのです。

店舗型集客でリスティング広告を利用するメリット・デメリット

リスティング広告の概要を押さえたうえで、ここからは店舗型集客をおこなう際にリスティング広告を活用するとどのようなメリット・デメリットがあるのかを紹介します。

これからリスティング広告の活用を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

店舗型集客でリスティング広告を始めるメリット

店舗型集客でリスティング広告を始めるメリットは、以下の4つです。

店舗型集客でリスティング広告を始めるメリット

1.地域名で絞り込んだ限定的な広告配信ができる
2.営業時間に合わせた広告配信ができる
3.少額から広告の配信をスタートできる
4.キャンペーン情報などをすぐに反映できる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

地域名で絞り込んだ限定的な広告配信ができる

店舗型ビジネスは「お店に来てもらうこと」が最終的なゴールになりますが、それは地域的な限定を受けるということに他なりません。ECサイトのように地域を問わずに顧客を見つけ出せるわけではないので、特定の地域に限定した広告を配信することが大切です。

その点において、リスティング広告は「ターゲティング」の設定で広告を配信するユーザー情報の指定や広告を配信するキーワードに地域名を盛り込んだりできます。

うまく組み合わせれば、特定の地域に絞りながら、自社のサービスに興味を持っている方だけに広告を提示できます。広告費の削減はもちろん、リスティング広告の効果も大幅に高められるのです。

営業時間に合わせた広告配信ができる

営業時間外に広告を見て来店されてしまうと、重大な機会損失につながってしまいます。リスティング広告では、広告を配信する時間帯を設定できるため、店舗が営業している時間帯に限定した広告配信が可能です。

また、「営業時間外は予約につながるこの広告を配信して、営業時間中は直接の来店につながるこの広告を配信しよう」といった使い方もできるので、時間指定を使いこなせれば、機会損失を防ぎつつ広告の効果を高められます。

少額から広告の配信をスタートできる

リスティング広告は成果報酬型なので、実際に広告がクリックされたときに初めて費用が発生します。また、予算をあらかじめ決めたうえで広告を出稿できるので、予想以上の広告費を支払う必要もありません。

店舗型ビジネスの多くはスモールビジネスに分類されるため、広告費にかけられる予算には限りがあります。なるべく広告費をかけないように集客をする仕組みが必要ですが、リスティング広告はWeb上でその役割を担ってくれます。

CMや雑誌、新聞の広告枠のように、一定の金額を支払って枠を買うものではないので、無駄な費用を抑えつつ、本当に情報を必要としている潜在顧客に絞って広告を表示できるので、店舗型集客はリスティング広告との相性が良いのです。

キャンペーン情報などをすぐに反映できる

店舗型ビジネスでは、季節に合わせたキャンペーンやイベントを企画することも多いですが、リスティング広告を活用すれば、こうした期間限定の販促企画も即座に告知できます。

リスティング広告はSEO対策やSNSマーケティングのような他のWebマーケティング施策と比べて即効性が高いので、すぐに大勢の人にアプローチできるのが強みです。

期間限定のキャンペーンやイベントのように、すぐに告知したい内容や、ユーザーからの興味を惹きやすい内容は、リスティング広告を活用して告知するのがよいでしょう。

店舗型集客のリスティング広告で生じるデメリット

店舗型集客のリスティング広告で生じるデメリットは、以下の3つです。

店舗型集客のリスティング広告で生じるデメリット

1.即効性は高いが効果が持続しない
2.設定や運用のハードルが高い
3.長期的なファンの獲得には使えない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

即効性は高いが効果が持続しない

リスティング広告は効果が出るまでの期間が短く、すぐに広告が出稿され、アクセスが増加します。しかし、広告費が尽きればその効果はパタリとなくなる上、広告の出稿をやめた時点でアクセス数や問い合わせ数は一気に減少してしまうでしょう。

Webからの集客力を、長期的な視点で育てていきたいのであれば、リスティング広告だけでなくSNSやSEOといった他の施策も同時に進めていく必要があります。

設定や運用のハードルが高い

リスティング広告は、誰でも出稿できるシンプルな仕組みで成り立っていますが、効果的に運用するためにはいくつかのスキルが必要なので、初めて活用する方にはハードルが高く感じるかもしれません。

まず、リスティング広告を「どのキーワードで調べられたときに表示するか」を決めなければならないのですが、この時点で「キーワードからニーズを読み取るスキル」が求められます。

他にも、魅力的な広告文を作るコピーライティングのスキルや、広告費と収益の費用対効果を見定める分析スキルなど、しっかり運用しようと思うほど求められるスキルは多くなっていくのです。

Webマーケティングの分野に不慣れな方は、多少の勉強が必要になることもあります。店舗の業務もこなしながら広告出稿もおこなう場合は、根気がいることを念頭に置いておきましょう。

長期的なファンの獲得には使えない

リスティング広告はすぐに効果が出るいっぽう、効果が持続しないのが難点です。言い換えれば、長期的なファンの獲得には向いていません。

しかし、店舗型ビジネスの主戦場はあくまで店舗ですから、店舗へ来てくれた顧客を充分に満足させて、リピーター化することは可能です。そのための仕組みを整えておけば、Web上でのファン獲得には躍起にならなくても大丈夫でしょう。

もしWeb上でのファン獲得や、長期的な新規顧客の獲得を実現したいのであれば、リスティング広告以外の手法も交えて顧客との関係構築を進めなければなりません。自社の業態に適した方法で、Webマーケティングの施策を検討してみることをおすすめします。

店舗集客で使えるGoogle広告の種類

店舗集客では、他にもいろいろなGoogle広告を活用できます。

ここでは、とくに店舗への集客で活用していただきたい「ローカルキャンペーン」と「ローカル検索広告」について解説します。

ローカルキャンペーン

ローカルキャンペーンとは、主にGoogleマップ上に表示される広告を指します。画像や動画といった、文章よりも視認性の高いコンテンツを自由に盛り込んで広告を掲載できるので、リスティング広告よりもアクセスを獲得しやすいのが特徴です。

また、地図アプリ上に表示されるので、「今まさにお店を探している方」が閲覧する広告と言えます。

自社のことを知っていなくても、「近くにあるから」「今ちょうど利用したい気分だったから」という強い動機を利用できるので、店舗型ビジネスの集客と非常に相性が良いのです。

また、同様の広告手法として、ローカル検索広告というGoogle広告も存在します。

ローカル検索広告

ローカル検索広告はローカルキャンペーンと同様に、主にGoogleマップ上で表示される広告を指します。ローカルキャンペーンと異なる点は、「表示できるのが文章のみ」であること。

また、リスティング広告のオプションとしての位置づけにある広告なので、店舗名やマップ上の位置は表示されますが、ローカルキャンペーンのように画像や動画で臨場感を持たせることはできません。

近年は地図アプリ上での検索順位を高める「MEO」と呼ばれる手法も確立され、これまで以上にマップ上での魅せ方が重要になっています。店舗への集客手法を検討する際には、リスティング広告と一緒にMEOについても理解しておくと良いでしょう。

リスティング広告が実店舗の集客に向いている4つの理由

ここからは、リスティング広告が実店舗の集客に向いている4つの理由について解説します。

「地域名」という強力なターゲティングが可能

リスティング広告の効果を高めるためには「どのようにターゲティングをおこなうか」が重要ですが、店舗型ビジネスの場合はすでに「地域」という強力なターゲティングの要素が含まれています。

つまり、無駄な広告費を削減しながら、購買につながりやすいユーザーに対して何度も広告を表示できる可能性が高いので、ECサイトのように地域で絞り込む必要がない業態に比べて、リスティング広告との相性が良いのです。

購買意欲の高いユーザーにのみクリックしてもらえる

ターゲティングで地域を指定したり、キーワードに地域名を含めたりすることで、広告を配信できる範囲は絞られますが、購買可能性の高い顧客にのみクリックしてもらえます。

たとえば店舗が新宿にあるのに、ターゲットを新潟にまで広げて広告を配信してしまうと、来店する可能性が低い新潟のユーザーにもクリックされてしまい、無駄な広告費がかかってしまいます。

新宿に限定して広告を配信することで、新宿近辺で生活しているユーザーにのみ広告を表示できるので、クリックされた後に来店してもらえる可能性も高くなるでしょう。

このように、店舗型ビジネスは、リスティング広告の費用対効果を高く保ちやすいのです。

キャンペーンの宣伝にも使いやすいのでチラシの代わりとして活用可能

すでにリスティング広告を掲載している場合は、もともとのキャンペーンの広告文を変更するだけでキャンペーンの宣伝がすぐにおこなえます。

チラシを刷る場合と比べても段違いに素早く、安くユーザーへ情報を届けられるので、「キャンペーン期間だけ広告を配信してみよう」というように期間を定めて広告を活用するのもおすすめです。

少額から広告出稿できるのでマーケティングのハードルが低い

リスティング広告は1万円程度の少額からでも広告を出稿できます。金銭的なハードルが低いので、小規模ビジネスであっても取り組みやすいのが最大のメリットです。

たとえばCMや街頭広告のように多額の費用がかかるマーケティング手法を選べない個人店舗であっても、Web上に広がる膨大なユーザーに向けて広告を打ち出せるので、外部の広告媒体を使ったことがない方にも、ぜひ一度試してみて欲しい広告手法と言えます。

広告運用の効果を高める4つのコツ

リスティング広告はやみくもに出稿しても効果にはつながりにくく、最悪の場合は問い合わせや来店につながらないまま広告費を無駄にしてしまいます

ここからは、リスティング広告の効果を高めるためのコツを4つお伝えしてまいりますので、ぜひ参考にしながらリスティング広告の運用にチャレンジしてみましょう。

顧客のニーズに合わせて広告文やターゲティングを設定する

リスティング広告の効果を高めるうえでもっとも大切なことは、顧客のニーズを深く読み取って、広告を見たユーザーに「このお店であればニーズを満たせる」という「期待」を充分に持ってもらうことです。

たとえば、喫茶店が広告を出稿するにあたって、「こだわりぬいた最上級の豆で淹れる逸品のコーヒー」のように言葉を尽くしてコピーを作成しても、ユーザーはまだ店舗やサービスを利用していないので「美味しい」という「実感」は得られません。

その条件のなかで、どのように「期待」を高めて来店まで導くのか、という点が重要になりますが、「期待」を強力にバックアップしてくれるのがユーザーの中にある「ニーズ」です。

ユーザーが「軽く休憩したいから適当な喫茶店を探している」のであれば、コーヒーへのこだわりよりもソファの柔らかさを重視するでしょうが、「コーヒーを飲みたい」と思っていたら、先ほどのコピーに惹かれて来店してくれるかもしれません。

つまり、ユーザーのニーズを正確に読み取って、そのニーズに対して深く強く刺さるような内容の広告文を作成することが、リスティング広告の成果を高めるうえでは重要なのです。

また、想定しているニーズを抱えたユーザーに正しく広告を表示するためには、ターゲティングやキーワード選定も大切です。ユーザーが「休憩したい」のか「コーヒーを飲みたい」のかを見極めるのは、いずれの業態であっても必要不可欠でしょう。

リスティング広告の出稿にあたって、いま一度「来店してくれるユーザーのニーズはなんなのか」を考えてみると、広告出稿だけでなく今後の店舗運営にも役立ちます。ぜひ検討してみましょう。

競合他社のリスティング広告を参考にする

競合他社がどのようなキーワードで広告を出稿しているのか、どんな内容の広告を作成しているのかを調査してみると、成果を上げるためのコツが見えてきます。

たとえば、競合が同じキーワードで何度もリスティング広告を出稿している場合、その費用をかけてでも出稿するだけの効果が得られていることが読み取れますから、同じキーワードで広告を出稿する価値はあるでしょう。

他にも、広告やリンク先ページの作り方など、参考にできる点が多くあります。もし競合がWebサイトや広告に力を入れている場合は、Webマーケティング全般のベンチマークとして参考にしてみることをおすすめします。

効果測定をおこなって広告の効果を可視化する

Web広告はオフラインの広告よりも正確に「反響」が可視化できるため、「効果測定」を用いて、広告の価値をより高めるための分析を実施できます。

広告を経由してマップを表示した回数や電話番号、メールアドレスのタップ数などを正しく計測できるので、実店舗のリスティング広告であればこれらを指標にして効果測定をおこなうとよいでしょう。いずれの要素も来店につながる有力なステップです。

また、実店舗ならではの施策としては、広告先のランディングページに「来店時に伝えてもらう合言葉」を記載しておき、その後の経過を観測してみると、どれだけのユーザーが広告を見て来店してくれたのかが簡単に分かります。

合言葉を伝えてくれたユーザーにプレゼントを用意しておけば販促にもつながりますし、「お得感」や「特別感」を提供できるので顧客満足度もアップします。ぜひ参考にしてみてください。

「キャンペーン」で適切な予算配分とターゲティングをおこなう

リスティング広告を作成する際には、適切な予算配分とターゲティングが必要です。

セオリーに倣えば、予算は「見込んでいる売上」に対して、広告費をどれだけかけるか、という試算の上で割り出されるべき数値なので、「今月はこれくらい」「このイベント中はこれくらい」というように、一定の期間で目指す売上を明らかにする必要があります。

その目指す売上に対して、どれくらいの広告宣伝費をかけるのか、という予算配分を考えておきましょう。

飲食店であれば「5~10%」、美容関連であれば「15~20%」程度の広告宣伝費をかけている事業者が多いと言われています。

この広告宣伝費内で売上を高めるために、最適なターゲティングが大切です。ユーザーの属性や地域などを絞りこんで、来店してくれる見込みの高い顧客に対して広告を表示できるように心がけましょう。

実店舗の集客にはリスティング広告を活用しよう

ここまで紹介してきたメリットやデメリットも踏まえて、実店舗の集客では、リスティング広告が効果的です。

他にも、ローカルキャンペーンやローカル検索広告など、実店舗での集客に使える広告がいくつか存在します。それぞれ比較しながら、最適な集客施策を検討してみましょう。