昨今、ローカルビジネス環境は変化が目まぐるしく、その中でも最も注目されているのが「SGE(Search Generative Experience)」です。
SGEって何?
SGEとは、Google Search Generative Experienceの略であり、生成AIをGoogle検索結果に導入した新しい検索体験です!
本記事では、このSGEが今後どのようにローカルビジネスに影響を与えていくのかを、海外の情報や独自の見解をもって解説して行きます。
AIが生成した回答が検索結果のトップに表示!SGEの機能とは
SGEの機能は、ざっくり以下の6つです。
- AIによって生成された検索結果が上部に表示される
- AIの回答に対してユーザーが追加で質問できる
- 検索ワードを理解して自動で情報を表示する
- ユーザーに役立つ専門的な情報が上位表示されるようになる
- テキスト、画像、動画などが包括的に表示される
- 広告は引き続き表示されるが、検索結果と区別できる
前提として、AIによって動的に生成された回答は、複数の情報源から抽出され、組み合わせられたものであり、特定の情報から、ただ単に引用したものではありません。
そのため、実際にユーザーに検索された質問の文脈から、求められている検索結果を複数のソースから組み合わせてテキストにまとめ、画像やリンクと共に表示されるようになります。
簡単に例を出すと、「おすすめのダイエット方法は?」とユーザーが質問を行った場合、AI側で複数の内容を要約し、まとめて表示してくれるということです!
さらに、質問内容をより知るためのリンクもおすすめ表示されます。
AIによる回答生成は、人間が行う検索結果の評価に比べて、はるかに高速で正確であるため、SGEの登場により、今後検索ユーザー側の検索アクションが非常に簡単に、かつ正確になっていくことでユーザー側の時間と労力を節約できることが予想されます。
また、AIが動的に各キーワードに対する回答を出力することで、複雑な検索ワードや複数の回答が存在する場合でも対応できるようになるとのことです。
また、AIによって検索結果に表示されるAI生成情報は「スナップショット」と呼称するようです。
SGE登場でローカルSEOの対策は必要なくなる?
SGEの登場で、今まで頑張ってきたMEO対策・ローカルSEO対策は効果がなくなっていく??
結論、マイナスな変化は無く、寧ろ今までよりも対策をしているビジネスは優勢になると考えています!
そう考える理由は「Googleビジネスプロフィール自体がAI側で生成出来ない「独自情報」「クチコミ」などの一次情報の塊であるため」です。
もちろん、今後SGEに沿った新しいローカルSEO対策は増えていく可能性がありますが、AIにお店の情報を作成することはもちろん出来ませんし、そもそも情報が載っていないGoogleビジネスプロフィールや、クチコミの評価が悪いビジネスをAIで優先表示させることは考えにくいからです。
そのため、基本的な「ローカル検索のユーザー」が求める情報に対して、情報を充実させ、関連性向上などの対策していれば、マイナスな影響はない見込みです。
さらにそれを裏付ける、SGEによるローカル検索の具体的な変化について、次の見出しから解説して行きます。
SGEによるローカル検索の具体的な変化と対策は?
海外で発生しているローカルパックの表示
海外では既にAIによるローカルパックの表示が確認されています。
AIにより生成されたローカルパック5つ・自然検索で表示されたローカルパック3つの合計8つのローカルパックの表示が確認されており、そのうちのGoogleビジネスプロフィールの内容が4割〜5割程度被っているとのことです。
現状テスト段階であり、広告枠も今後出現していく可能性があるため、判断が難しい範疇にありますが、AIによる出力・自然検索で表示された場合の両方で表示を成功させた際は、クリック率がかなり高くなりそうな印象です。
エンティティの重要性を理解した対策が必要に
SGEでもう一つ重要になっていくと考えられるポイントが、検索クエリとは別に「エンティティ(事実)」に基づいて結果を表示するようになるのではないか、と言う点です。
Googleではエンティティを、名詞によって言語的に表現される「特異で、ユニークで、明確に定義され、区別可能な物または概念」と定義しています。たとえば、人、場所、製品、イベント、アイデア、ブランドなどです。
そのため、GoogleのBard(Googleが開発・提供している会話型人工知能)に「ベルリンで最高のイタリア料理レストラン」と入力すると、キーワードではなくエンティティに基づいてお店の情報が出力されます。
上記が、SGEでも重要視されると考えた場合、Googleビジネスプロフィールの内部情報(商品・メニューなど)の充実度はもちろん、「クチコミによるユーザーの体験がどれほど多く記載されているか」が大切になってくると思われます。
SGEの登場により、早速海外ではローカル検索結果に変化が発生しています。
この見出しでは、重要度が高いものを二つ紹介して行きます。
検索クエリによってAI生成の挙動が変化
現状発生しているポイントで言うと、ローカル検索クエリによって
- 自動でスナップショット(SGEによって出力されるAI検索結果)
- ユーザー側で検索結果を「生成」しなければならないケース
- AIのオプション(生成ボタンなど)が全く表示されないケース
があるようです。
例えば、「ファイナンシャルプランナー ロサンゼルス」などのワードで検索した際は、AIのオプションが全く表示されないのに対し、「電気工事士 サンフランシスコ」で検索した際は、ユーザー側で検索結果を「生成」できるようになっているとのこと。
しかし、「電気工事士」と検索すると、スナップショットが自動で表示されるケースになるとのことです。
このことから、スナップショットは”やや広い地理的領域から抽出”したものを生成する仕様になっている可能性が高いとのことです。
これは、各ビジネスのカテゴリによって変化しているとのことですが、今後ユーザーによる下記データを取得しながら、変化していくようです。
- カルーセルとの関わり
- ユーザーが「生成」をクリックする頻度
- SGE欄でのクリック動作
- 商用および非商用検索におけるSGEの取り組み
- SGEの結果がスクロールとオーガニッククリックに与える影響
- AIスナップショットが広告クリックに与える影響
上記のデータを取集しながら、今後変化していくSGEは、ローカル検索対策でもかなり重要な指標となっていくと思われます。
SGEの回答にGoogleビジネスプロフィールから引用した写真を回答として返すように
例えば、あるホテルのメニューを調べた際に、Googleビジネスプロフィールでクチコミと一緒に投稿された画像などが引用され、回答として返ってくるようになるとのことです。
上記から言えることは、クチコミに写真を入れてもらうほか、オーナー側で登録する写真の充実度や、サービスに関しての適切な写真が入っているか、がSGEから自店舗のGoogleビジネスプロフィールへの流入増加として1つの施策になる可能性が考えられると言うことです。
まとめ
- SGEとは「”Google Search Generative Experience”」の略で自動生成AIを活用した結果をGoogle検索エンジンの検索結果に導入する機能
- 海外ではすでにSGEによるローカル検索の変化が発生
- SGEの登場によりローカル検索対策はより重要になっていく可能性が高い
今後も目まぐるしく変化が予想されるローカル検索市場とAIの情報は、逐次チェックし解説をして行きます。
ぜひ確認頂き、自店舗の運用に活かしてください。
新宿を本社とするWebマーケティング会社でマーケター・ディレクターとしてローカルビジネスのサポート経験を蓄積した後、トライハッチにジョイン。マーケティングチームMGRとしてクライアントから寄せられるGoogleビジネスプロフィール運用におけるコンサルティング・集客課題の解決や、MEOの調査・傾向分析を主に行う。同社にはフルリモートでのジョインであったが、2022年4月より、居住地である香川県高松支社の立ち上げ責任者として従事。2023年からはインハウスマーケターとして、BtoBマーケティングを主な業務としている。陸上自衛隊出身。